学術雑誌(外国雑誌)の効果対費用 主催:INFOSTA
日時:1999年4月15日(木)14:00-17:00
会場:国立教育会館6階602会議室
 

外国雑誌の価格問題と図書館の生き残り戦略:電子ジャーナルは代替とはなりえない!

 
長谷川豊祐(鶴見大学図書館)
e-mail:
http://www2d.biglobe.ne.jp/~st886ngw/

1.鶴見大学図書館の状況

a) 購読中止の概要
 
歯学部(一般雑誌) 予算:7,000万円
年度
中止点数
中止金額
備考
1995年
6点
450万円
CA, BA等
1996年
31点
750万円
一次資料
1997年
67点
720万円
一次資料
1998年
79点
1,380万円
一次資料
文学部・短大部(一般雑誌) 予算:1,000万円
1998年
50点
200万円
図書館学
逐次的図書
1997年
93点
280万円
歯学部
1998年
95点
230万円
文学部・短大部


b) 1998年度の購読中止の手順

6月:renewalの推計額−予算額=削減目標

8月:中止候補リストを作成

9月:図書委員会での調整・修正・承認

10月:契約

11月:支払

1月:いくつかのタイトルの復活・新規購読

注)重複購入タイトルなし、予算増額なし、DDS代替なし


2.各国通貨換算レート1982年比

実勢レート(82-93:関ブロ、94:東大、95-:鶴見)
 
係数
1.219
1.195
1.175
1.176
1.19
1.245
1.225
1.182
年度
82
83
84
85
86
87
88
89
基準日 10/ 10/ 10/ 10/ 10/ 10/ 10/ 10/
1-15
1-15
1-15
1-15
1-15
1-15
1-15
3-14
D.Mark
103.34
107.53
90.28
81.25
81.79
77.84
80.14
71.78
Guilder
93.25
98.44
80.57
72.11
72.54
68.88
71.26
63.7
Pound
430.7
463.31
352.84
309.02
307.64
225.42
241.91
229.43
Dollar
230.45
270.97
234.25
247.94
215.98
155.17
146.23
125.2
 
1.153
1.143
1.147
1.18
1.158
1.18
1.11
1.11
90
91
92
93
94
95
96
97
98
11/ 11/ 11/ 10/ 10/ 10/ 9/ 10/ 9/
1-15
1-15
1-15
1-15
1-15
1-15
1-30
1-7
1-15
78.22
87.23
79.88
84.07
65.27
71.28
73.69
70.11
78.65
69.31
77.34
70.88
74.65
58.27
63.63
65.72
62.26
69.68
230.71
256.77
233.98
211.09
161.88
163.27
175.25
201.73
229.14
144.37
129.97
131.02
121.38
100.71
101.69
110.77
122.82
135.53


3.外国雑誌の価格上昇への対応

vs出版社:購読中止
     vs図書館:雑誌(情報流通)へのタダ乗りへの疑問

vs代理店:高額誌の直接購読、競争見積り
     vs図書館:利益縮小への疑問

vs管理者:利用者,財務担当,経営者との共通認識
     雑誌購入のための資金をかき集める
     vs図書館:図書館経営効率の悪さ

vs利用者:ドキュメントデリバリーによる文献提供機能を強化
     学術情報流通の基礎知識を組織的に蓄積
     vs図書館:拡大路線への幻想


4.学術雑誌の価格変動の背景

出版社の定価の上昇:
   電子化への投資
   購読者数の減少
   物価上昇
   M&Aへの費用拡大

為替レートによる変動

購入価格のばらつき:
   出版社が設定する地域差別価格
   代理店の仕入原価の差

図書館の予算規模


5.図書館の対応策のレベル

集中管理:複数部局による重複購入の一本化

資料費の範囲内:購読中止、競争入札、資料費の再配分

運営費までの範囲:ドキュメントデリバリー

図書館全体:アウトソーシング、電子ジャーナル

大学全体:図書館への重点配分

図書館界全体:分担収集、共同購入

教育界全体:コンソーシアム


6.図書館のハイブリッド化による対応:Hybrid Library

雑種(Hybrid)には、しばしば雑種強勢とよばれる現象がおこり、
親よりも長生きで成長もはやく、丈夫だという傾向がみられる。

高度化:電子媒体と紙媒体をミックスした資料提供

効率化:雑誌業務と参考業務を統合し,図書館サービスを再編成

共生化:関連業界とのマルチソーシング(共同運営)による共生進化

グローバル化:経済と情報のグローバル化に対応したポジショニング


7.今年度の対策:あらゆる資源をかき集める

現在考えていること
  外国雑誌の全点見積もり
  外資系の利用(リーズナブルなシステムへ)
  チェックイン方式による省力化
  電子雑誌の試験的な導入
  ILLへの文献調達のシフト
  人員の再配分、能力強化

障害となりそうなこと
  外資系へのアレルギー(国内代理店との協力の優先)
  一社集中(効率化)への不安
  ネットワーク環境の整備の遅れ
  効率的に再編成した組織に図書館員がなじめない可能性


◆◆serialst-j 学術情報流通メーリングリスト◆◆
◆1◆ serialst-jの概要

●名 称: serialst-j (シリアルスト・ジェイ)

●正式名称: serialst-j 学術情報流通メーリングリスト

●管理人: 長谷川豊祐 <http://www2d.biglobe.ne.jp/~st886ngw/>

●目 的:

 学術情報の流通に関するあらゆるテーマについての議論・情報提供・オフミーティングを行う.
 図書館,書店員,研究者,出版社の交流の場を設定する.

●内 容:

 雑誌業務から派生する問題についての質疑応答
    :雑誌の到着状況, 雑誌の購読,購読価格,アウトソーシング,創刊雑誌の案内
 セミナーや講演会の案内、参加の報告・感想
 今後の学術情報流通システムへの対応
    :ネットワーク,ドキュメントデリバリー,著作権,電子雑誌,新サービスの案内

●参加資格: 学術情報の流通に興味のある方なら誰でも.

●利用制限:

 メールの大きさは20Kbyte以内に制限されています.(最大で、60-80字*200行くらい)
 NDS社による無料MLのため、広告主からの広告がメールの先頭について配信されます.
 MLへの投稿は,参加者以外でもできます。

●トラフィック: 月10通ほど(予定)

●アーカイブ: serialst-j 書庫:手動で月に一回まとめてテキストファイルで保存
         <http://www.geocities.co.jp/Berkeley/4105/index.htm>

●関連URL:

 SERIALST 雑誌関連の議論・ニュース ,アーカイブの検索 (米国)
      <http://www.uvm.edu/~bmaclenn/serialst.html>

 lis-serials 雑誌関連の議論・ニュース,アーカイブの検索 (英国)
      <http://www.mailbase.ac.uk/lists/lis-serials/>

 Newsletter on Serials Pricing Issues 雑誌の価格問題 (米国) 
      <http://www.lib.unc.edu/prices/>

 図書館関係メーリングリスト <http://www.libra.titech.ac.jp/ML.html>

●運営開始: 試験運用 1998年8月28日から

 INFOSTA第30回夏期特別セミナー『学術雑誌の費用対効果』(1998.8.27-28)参加者に案内
 

◆2◆serialst-jの使い方

●メーリングリストへの参加

 serialst-j-request@mx4.dns-ml.co.jp  宛に
 Subject:(表題/題名)には,何も記述しないで
 本文として
  join serialst-j メールアドレス    例) join serialst-j
  stop
 を送る.

●メーリングリストへのメールの出し方

 serialst-j@mx4.dns-ml.co.jp  宛に,普通にメールを出す.
 メーリングリストへの登録者の全員にメールが送られます.

●最初の投稿は自己紹介を

 登録がすんだら簡単な自己紹介メールを送ってみて下さい.
 無料で提供されるMLなので,メールの先頭に5行ほどの広告が自動的にけられて届きます.

●メーリングリストからの退会  

 serialst-j-request@mx4.dns-ml.co.jp  宛に
 Subject:(表題/題名)には,何も記述しないで
 本文として
  leave serialst-j メールアドレス   例) leave serialst-j
  stop
 を送る.
 


●●参考文献●●

●DDS

●電子雑誌 ●書店・代理店の状況 ●コンソーシアム ●雑誌の価格問題 ●学術情報流通 ●学術雑誌の基礎知識 ●1970年代の動勢 ●為替レート ●文献レビュー